比較的安価で飼育し易いメダカの飼育が最近注目され、人気ナンバーワンとなっています。メダカを飼育するには、メダカにとって快適な環境を作るために、最低限の道具が必要です。これからメダカの飼育を始められる方は30cm程度の容器で10匹位から飼育を始めると良いと思います。
■メダカを飼育するのに必要なもの
底砂、水草、餌、網(タモ)、水換え用のホース、バケツ、水温計、カルキ抜き(水道水の場合)、粗塩(病気の時に使用)、室内飼育の場合には、蛍光灯、ろ過の為のフィルターなどです。
▼メダカを飼う容器
メダカの飼育でよく使用する容器は、睡蓮鉢、ガラス水槽、プラスチック容器、発泡スチロールなどの容器ですが、特に決まりはありません。
発泡スチロールは外気の影響を受けにくいので、水温の変化も緩やか。
屋外飼育には安価で手軽に始めるのに最も適した容器だと言えます。
スーパー等で不用品を貰ってくるのも良いですね。
メダカを横からも観賞したい場合はガラス水槽が適しています。
容器はなるべく大きなものが理想ですが、はじめは小さいのでも構いません。
水が多量に入る方が、水質も悪化しにくく、水温の急激な変化も少なくなります。
ですが、あまり大きな容器だと、それに見合った数のメダカを入れないと寂しいですね。
これからメダカの飼育を始められる方は30cm程度の容器で10匹位から飼育を始めると良いと思います。
メダカの入れ過ぎで、飼育密度が高くなると、酸素不足になったり、メダカの成長、産卵に悪影響を及ぼします。
▼底砂
底砂は水槽を綺麗に演出するためだけではなく、バクテリアなどの微生物の棲み家として重要な役割があります。
底砂に繁殖したバクテリアや微生物によって、底に溜まったメダカの排泄物や餌の食べ残しなどの有機物が分解され、そのことにより水が浄化されます。
▼水草
水草にも水を浄化したり、酸素を補給する作用がありますので、水草を入れた方が良いでしょう。
そして水草によっては、メダカの良い産卵場所、隠れ場所になったりもします。
隠れ場所があると、メダカのストレスが軽減されます。
メダカの飼育でよく見られる水草として、スイレンやホテイアオイがあります。
ホテイアオイの根は紫黒く、密集して生えます。
この根は水中の余分な栄養分などを吸収し、水を浄化してくれます。
また、この根がメダカの産卵場所としても最適です、
あまり根が伸び過ぎると、メダカが根に絡まる場合がありますので、 ある程度根が伸びてきたらカットしたり、葉が水面一面に茂ってきたら株を間引きします。
川などに出かけた時に、採取して来て、底砂に植えたり、浮かべたりするのも良いですね。
ただし、自然に生えているものには、雑菌や害虫の卵などが付着している場合がありますので、よく洗ってから使用しましょう。
また、購入した水草も上記のような場合もあるかもしれませんので、一度洗ってから使用しましょう。
しかし、思いがけずメダカの卵が付着していて、気がついたら孵化して、稚魚が泳ぎ回ってたということもありました。
■飼育水
メダカ飼育の中で最も大切なものと言われているのが水ですが、一般では水道水を使う場合がほとんどだと思います。
水道水の場合、注意したいのが、カルキ(残留塩素)です。
水道水には殺菌のために塩素が使用されていますが、塩素がメダカにとって毒となります。
水道水の塩素を抜くには、一昼夜以上、水を汲み置きしておくと、塩素が抜けます。
また、汲み置き水を常に貯めておけば、水温も気温と同じくらいになり、水換えをする際にも好都合です。
どうしても、すぐに水道水を使いたい場合には、市販のカルキ抜き剤を使用します。
また、飼育に使う水道水、又は地下水にしても、地域によっては、PHや硬度に問題がある場合があるようなので注意が必要な場合があります。
PHとは水中のイオン濃度の度合いを示すもので、PH7が中性、それより数値が下がると 酸性、上がるとアルカリ性となります。
メダカの飼育には、弱酸性から弱アルカリ性までの範囲内で飼育することが理想です。
PHは飼育環境によって変わってきます。飼育水は、飼育を続けるにつれ酸性側に傾いて来ます。
あまりにもPHが低下することはメダカにとっては害になります。
またPHや水温などに差がある違う水にメダカをいきなり移したりすると、PHの急変で体調を壊したりする場合があります。
そのため、メダカを購入された場合や違う水槽に移動させたりする場合には、水あわせを行います。
水合わせの方法は、小さめの容器に元々いた水と一緒にメダカを入 れ、 それを新しく入れようとする水槽にしばらく浮かべておき、水温を同じにします。
そして、新しい環境の水を少しずつ入れて、ゆっくりと新しい環境に慣れさせる方法です。
これをすることにより、水質や水温の急激な変化で、病気になったり、死んでしまうことを防ぐことができます。
▼水換え
メダカは変温動物ですから、水温によって活動状態が変わります。
冬場の水温が低い時には、メダカはほとんど活動しませんので、餌を与える必要もないので、排泄物も少なく、水質悪化の心配は少ないです。
このため、メダカが水底でじっとしているような冬場の時期は水換えの必要はありません。
メダカが活発に活動を始めるのは春から秋までの間です。
特に、夏場は水温も高く、メダカも活発に活動するので、餌もよく食べ、排泄物も多くなります。
この排泄物や餌の食べ残しが、メダカにとって有害なアンモニアという物質を発生させます。
そこで活躍してくれるのが、水中に存在するバクテリアなどの微生物です。
バクテリアの働きによりアンモニアが分解されますが、バクテリアの繁殖にはある程度時間がかかるので、水槽をセットしたばかりの初期段階では注意が必要です。
見た目は澄んだ透明な水であっても、既にアンモニアが蓄積されている場合がありますから、なるべく食べ残しが出ないように餌を与え、こまめに水換えをおこないます。
水換えの頻度は、飼育環境や飼育密度などによってさまざまですけど、最低でも週1回、全体水量の3分の1から4分の1くらいを水換えすると良いでしょう。
目安としては、水質悪化により、メダカの元気がなくなったり、餌をあまり食べなくなったりする場合がありますので、常にメダカをよく観察して、水替えをします。
■飼育場所、水温
メダカを飼育する上で日光はとても重要です。
日光に当たることにより、 丈夫なメダカに育ち、健康な状態を保つことができますので、メダカの飼育は屋外飼育が理想的だと言えます。
ガラス水槽の室内飼育は、いつでも好きな時にメダカを横から鑑賞できることが魅力の一つですが、室内飼育はどうしても日光が不足します。
光の不足はビタミンA、Dの欠乏をもたらし、メダカが病気になりやすくなる場合があります。
このため室内飼育の場合は、光を補給するという意味でも、蛍光灯の使用がオススメです。
屋外飼育の場合で注意するのは、夏場の暑い時期など水温が上昇しすぎる場合があります。
そのような時は「よしず」や「すだれ」などを利用し、日陰を作るようにします。
メダカが生存できる水温の目安は2℃から38℃くらいまでですが、高温になることはなるべく避けた方が良いでしょう。
メダカが最も活発に活動する水温(成長に適している水温)は25℃~28℃くらいです。
冬場の寒さがあまりにも厳しい地域では、メダカを室内に取り込んだり、加温するようにした方が好ましいかも知れません。
■メダカの餌
メダカは歯があって、雑食性なので、プランクトン、ミジンコ、ボウフラ、植物、小さな昆虫など色々な物を食べます。
屋外飼育の場合、自然にそれらの物が飼育水の中に混入するので好都合です。
共食いの可能性もありますので、エサのやり忘れのないようにします。
与える餌の量は、メダカの活性やメダカの数によって調整します。
1回に与える量の目安としては、5分位で食べ切れるくらいの量です。
食べ残しが出るとそれだけ早く水も悪化するので、その辺を普段の餌やりで観察しながら調整します。
活発に活動する夏は、最低でも1日2回、春や 秋は1日1回与えると良いでしょう。
冬は水温が下がりメダカの活動も鈍くなり、冬眠に近い状態になるため、餌を与える必要はありません。
■繁殖(産卵、孵化)
▼メダカのオスとメスの違い
メダカは、条件さえ整えば簡単に卵を産み、殖やすことができます。
メダカの繁殖を楽しむためには、オスとメスの特徴の違いを覚えて、見分けができるようにならなければなりません。
オスメスを見分けるには、まず尻ビレを見ます。
オスは、尻ビレがメスより大きく、平行四辺形のような形をしています。
またオスには背ビレに切れ込みが入っています。
オスに比べメスは、尻ビレが小さく台形のような形をしています。
メダカのオス(右)とメス(左)
▼産卵、孵化
オス1匹に対してメス1匹の1対1の交配でも、相性が良ければ交配しますが、効率よく繁殖させるには最低、オスメスあわせて10匹程度はいた方が良いですし、オスとメスが同じ匹数よりも、メスの方が多い方が理想です。
屋外飼育の場合、メダカは春から夏(4月から9月頃)にかけて産卵します。
それは、水温と日照時間が大きく関わっています。
メダカは水温20℃以上、日照時間が12時間から13時間の環境下で産卵し始めます。
地域によって差はありますが4月から9月という時期は、ちょうどその条件がそろった時期になります。
また、栄養も産卵の為に重要です。
餌をきちんと与えていないと産卵しなかったり、産卵数が減ったりしますので、日頃の餌やりを大切にしてください。
メダカは産んだ卵を数時間ぶら下げて泳いだ後、水草などにこすりつけて付着させます。
しかし、そのままにしておくと、卵から孵化した稚魚が親メダカに食べられてしまいますので、産み付けられた卵は水草ごと別の容器に移動させて孵化させます。
卵の孵化日数は、水温によっても異なりますが25℃の水温で管理している場合、約7日から10日くらいで孵化します。
しかし、卵は水温が低いと孵化までに時間までにかかり、卵にカビが生えたり、成長できずに死んだりします。
冬場に繁殖させる場合には、卵を管理するにもヒ―タ―を入れてください。
受精しているメダカの卵はあめ色で、指でつまんでも潰れません。
しかし、無精卵や、途中で死んでしまった卵は、すぐに潰れてしまいます。
このような卵は放置しておくと、カビが生え、他の正常な卵にまでカビが発生する原因となりますので、白く濁った卵やカビの生えてしまった卵は取り除いた方が良いでしょう。
稚魚は、孵化して3日から5日くらいで餌を食べ始めます。
▼病気
メダカがかかりやすい病気は「白点病」、「水カビ病」、「尾腐れ病」などです。
「白点病」は体に白い点々のようなものが付きます。
「水カビ病」は、頭部や口先、ヒレ先などに白い線のようなカビが付きます。
「尾腐れ病」はヒレ先がささくれたり、溶けたりします。
いずれの場合も、初期段階であれば治療が可能ですが症状が進み、重症の場合の治療は難しくなります。
治療法は、市販の魚病薬を使用するか、粗塩を使用します。薬の場合は、使用法に従い使用してください。
粗塩は0.3から0.5%程度の塩分濃度になるように塩水を作り、そこに病気のメダカを入れて塩水浴させます。
共に病気の原因となる菌は高温になると活動が鈍る為、水温は28℃位まで上げます。