友達

人と話すのが大好きでコミュ力は高いから、友だちはすぐにできる。でも、なぜかその関係が長続きしない……そうした悩みをお持ちの方は、少なくないです。友だちを作るのは得意なのに、友情が長続きせずいつも知らぬ間に友だちをなくしてしまう……。

このように、社交的な性格でも友だちを失ってしまう場合、コミュニケーションのとり方に独特の癖があるのかもしれません。

友だちづくりの基本は、「自己開示」といって、自分のことを相手に伝えたり、話すことです。

自己開示は、信頼関係を築くための重要なコミュニケーション方法です。

心を開いて、自分の経験や感情や考えを相手に伝えると、相手もそれに呼応して自己開示をしやすくなります。

こうして、お互いに心を開いて気持ちや経験を共有しあうことで、友情は深まっていくのです。

出会ったばかりの頃に積極的に自己開示できた人ほど、友だちづくりに成功します。

自分から「私、○○出身なんだ。まだ友だちがいないんだけど、よろしくね!」などと話しかければ、初対面の緊張をほどき、関係性を築きやすくなります。

ところが、自己開示で友だちづくりに成功しても、その後のコミュニケーションで友だちを失ってしまう人は少なくありません。

代表的なパターンが、「自己呈示」が増えていくコミュニケーションです。

自己呈示とは、自慢や自己アピールなど、自分の良い印象だけを相手に伝えること。

「私、○○出身なんだ」「新年度って緊張しちゃう」――こうした等身大の自己開示を受ければ、相手も等身大の自己開示をしやすくなり、打ち解けた会話が始まりやすくなります。

しかし、そこから自己呈示にシフトすると、どうなるでしょう?

「私の出身校では、〇〇大学に何人も合格している」「友達には、有名人の○○さんがいる」「お父さんは○○会社の部長で、家は山の手にあって……」

――このように、自分の良い印象だけを選んで相手に伝えるようになると、聞かされる側はたまりません。




いつまでも続く自慢話にうんざりし、落胆や不信感が募ってしまい、次第に敬遠するようになってしまいます。

その情報は知らぬ間に広がっていきます。

ではなぜ、会話が自己呈示にシフトして発展してしまうのでしょうか?

その行動の裏には、自分への自信のなさがあるのかもしれません。

「自分の良い印象を伝えなければ、友達は魅力を感じてくれない」「自分を飾らなければ、人に認められない」――たとえばこんな思いがある人では、自己呈示的な会話が増えやすくなります。

また、自分が相手より優位だと感じなければ、自尊心を保てないという人もいます。

自分が相手に勝る点を探しているパターンとして「“すごいね”“さすがだね”と言われたい」――こんな思いも、自己呈示的な会話を増やしやすくなります。

そして次第に増長して、有りもしない話に発展していったら最悪。

自己呈示は、言葉ばかりとは限りません。

たとえば、ブランド品や奇抜なファッションを身につけて、自分の方が高級であり、流行に敏感だとアピールする人。

しかし、こうした自己呈示をすればするほど、友だちの心は離れていきます。

したがって、友だちづくりは上手なのにその関係を維持できない場合、自分のコミュニケーションが自己呈示になっていないか、振り返ってみるのも一考です。

あるいは、なぜそうした気持ちが生じるのか、自己分析してみるべきでしょう。