
「ほめること」が子どもの力になることは、みなさんよくご存じでしょう。ですが、「ほめ方」次第では逆効果になることは、案外知られていません。たとえば子どもがテストで100点を取った時。もし「すごいね!」「頭がいいね」などと親が声をかければ、子どもも誇らしそうにするかもしれません。
しかし、いつもいい点数を取れるとは限りません。不満足な時は結果を隠す、うそをつくようになる子どももいます。
◆「ほめる行為」の落とし穴
「100点=頭がいい⇒ほめらねる」と学習した子どもは、
「100点が取れなかった時は、頭がよくない⇒ほめられない」と感じて、自信を失ってしまうことになりかねません。
次の失敗を恐れて挑戦する意欲が低下することもあります。
大人だって、仕事で強いプレッシャーを感じると、チャレンジが怖くなることはありますね。
「ほめる」という行為は、他者を「評価する」意味を持ちます。
子どもからすれば、他ならぬ大好きな親からの言葉です。
影響は絶大なのです。
3歳の娘を持つTさんは、最近悩んでいることがあると言います。
「いつも娘の描く絵や、お手伝いを『すごいね~!』とほめていたら、娘が何かというと私のところに来て、
“ほめられ待ち”をするようになってしまって。
ほめられるためにではなく、ホントは楽しんでやってほしいのですが……」
実は、ほめるということは、プロの保育士でも難しいと感じているのだそう。
それは、「すごい」「えらい」「うまい」など 簡単な一言で済んでしまうからなのです。
大好きなママやパパにそう言われると、子どももとっても喜びますよね。
その顔が見たくて、ついほめてしまうという方も多いと思います。
けれども、よく考えてみてください。「すごい」「えらい」「うまい」は
単なるジャッジです。
逆に裏を裏を返せば、できないと、「すごくない」「えらくない」「うまくない」ということになります。
子どもが、「○○ができる僕はえらい、それができないあの子はダメ」と判断しても仕方ありません。
それは、知らず知らずのうちに大人の基準を与えてしまっているということにつながります。
では どうすればよいでしょう?
◆ほめるよりも、認めてあげる。
つまり 自分の評価を挟まずに、「目の前の事実」を言葉にするだけでいいのです
子どもの言動や喜怒哀楽を、そっくりそのまま認めてあげること。
子どもがとても真剣に描いた絵があったとしましょう。
「ほめたい!」と感じたあなたは、なんと声をかけますか?
思わず、「すごい!」「うまい!」と言いたくなると思いますが、焦らず言葉を選んでください。
先ほど伝えた通り、ぜひ、「目の前の事実」を言葉にしてあげてほしいのです。
「雲を大きく描いたね~!」「ずいぶん細かく描いてるね!」「このお花の色、ママ大好き!」と伝えてみる。
子どもは「そうでしょ?」と言わんばかりに笑顔になると思います。
それだけで、もう十分子供は満足するのです。
子どもは、大雑把に「すごい!」とだけ言われるよりも、
「あなたの太陽は、緑色なのね!」などと具体的に見てくれたことのほうが嬉しいのです。
お話ができる年齢なら、太陽を緑色にした理由を聞けば、きっと答えてくれるでしょう。
「へぇー そうなんだー とってもよくわかる‼」
間違っても
「太陽は赤でしょう‼」なんて言わないように
緑色に塗ったのにはなにかの理由があるのでしょう。
◆子供の感性を否定しない
「事実をそのまま認めるようなほめ方を続けていくと、自分なりの表現を楽しみ、自分らしさを大事にする子になります」
今日、お子さんをほめるとき、ぜひチャレンジしてみてくださいね。